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新入社員が研修についていけない原因と対策|落ちこぼれを防ぐ研修設計のポイントや成功事例を解説

  • 執筆者の写真: 将平 東
    将平 東
  • 6月2日
  • 読了時間: 9分

新入社員研修で「ついていけない」社員が出てしまう課題に悩む研修担当者は少なくありません。


せっかく時間とコストをかけて実施する研修なのに、一部の新入社員が脱落してしまうのは大きな損失です。本記事では、新入社員が研修で躓いてしまう原因と、全員が成長できる研修設計の具体的な対策をご紹介します。


新入社員が研修についていけない5つの原因

  1. 個人のペースや理解度の違いを無視した一律進行

多くの企業研修では、決められたスケジュールに沿って一律のペースで進行します。


しかし、新入社員の理解度や学習ペースには大きな個人差があります。プログラミング経験者と未経験者が同じクラスで学ぶ場合、未経験者は基礎的な概念の理解に時間がかかり、経験者は退屈に感じてしまいます。このギャップが広がると、理解が遅れた新入社員は「自分だけがついていけない」という焦りと劣等感を抱き、学習意欲の低下につながります。


一律進行の研修設計では、必然的に一部の新入社員が取り残されてしまうリスクが高まるのです。


  1. 基礎知識や前提スキルのばらつき

新入社員の学習背景は多様です。IT系の研修であれば、情報系学部出身者もいれば文系出身者もいます。営業研修では、アルバイトで接客経験がある人もいれば、全く初めての人もいます。


このような前提スキルのばらつきを考慮せずに研修を設計すると、基礎が不足している新入社員は専門用語や概念の理解に苦労します。「当然知っているもの」として進められる内容についていけず、早い段階で挫折感を抱いてしまいます。


事前のスキルチェックや基礎知識の補完なしに進める研修は、スタートラインの違いを無視した不公平な競争になってしまうのです。


  1. 質問しづらい環境と孤立感

新入社員にとって「わからない」と声を上げることは、想像以上に勇気が必要です。


「こんな基本的なことを聞いて恥ずかしくないか」「他の人は理解しているのに自分だけがわからないのでは」という不安から、質問を躊躇してしまいます。特に大人数での講義形式では、質問のハードルが高くなります。


また、個人学習が中心の研修では、悩みや不安を共有する相手がおらず、孤立感を深めてしまいます。

このような孤立感は学習効果を大きく阻害し、最終的には研修からの脱落につながります。心理的安全性が確保されていない環境では、効果的な学習は期待できません


  1. 実務とのギャップによるモチベーション低下

研修内容と実際の業務との関連性が見えない場合、新入社員のモチベーションは急速に低下します。


「この知識は実際の仕事で使うのか」「なぜこれを学ぶ必要があるのか」という疑問を抱きながらの学習は、集中力の維持が困難です。特に理論中心の座学研修では、実務での活用イメージが湧かず、学習への意義を見出せなくなります。また、研修で学んだスキルを実践する機会が限られている場合、学習したことが定着せず、「研修についていけない」という感覚を生み出してしまいます。


実務直結性の低い研修は、新入社員の当事者意識を失わせる大きな要因となります。


  1. フィードバック不足による方向性の迷い

適切なフィードバックがない環境では、新入社員は自分の学習が正しい方向に進んでいるかわからず、不安を抱えます。


「理解できているつもりだが、実際はどうなのか」「どこを重点的に学習すべきか」といった疑問に対する答えが得られないまま進むと、効率的な学習ができません。特に技術系の研修では、間違った理解のまま進んでしまうと、後で大きな修正が必要になります。定期的な理解度チェックや個別フィードバックがない研修では、新入社員は手探り状態で学習を続けることになり、途中で挫折してしまうリスクが高まります。


方向性を見失った学習は、必然的に「ついていけない」状況を生み出します。


全員が成長できる研修設計の5つのポイント

  1. 段階的な学習プログラムの構築

効果的な研修設計では、新入社員のスキルレベルに応じた段階的なアプローチが不可欠です。まず事前アセスメントで個々の基礎スキルを把握し、必要に応じて基礎補強プログラムを提供します。


その後、基礎から応用へと段階的に難易度を上げていく設計により、全員が確実にステップアップできる環境を整えます。各段階では明確な到達目標を設定し、クリア条件を満たしてから次に進む仕組みを導入することで、理解不十分なまま進んでしまうリスクを回避できます。また、各段階での小さな成功体験を積み重ねることで、自信とモチベーションの維持が可能になります。


段階的設計は、個人差を考慮しながら全員の成長を促進する効果的な手法です。


  1. チーム学習による相互サポート体制

個人学習の限界を補う手法として、チーム学習の導入が非常に効果的です。4〜5名の小グループで学習を進めることで、メンバー同士が互いの理解を助け合い、質問しやすい環境が生まれます。


理解の早いメンバーが遅いメンバーに教えることで、教える側も学びが深まり、教わる側も気軽に質問できます。また、チーム内での進捗共有により、適度な競争意識と連帯感が生まれ、学習継続のモチベーションが向上します。グループワークや議論を通じて多様な視点に触れることで、理解が深まり、実践的なコミュニケーション能力も養われます。


チーム学習は、個人の努力だけでは解決できない課題を、集団の力で乗り越える仕組みを提供します。


  1. 実践重視のアウトプット型カリキュラム

座学中心の研修から実践重視への転換は、理解度向上と定着率アップに直結します。

知識のインプットだけでなく、学んだことをすぐに実践する機会を多く設けることで、「わかる」から「できる」への橋渡しが可能になります。


例えば、プログラミング研修では理論説明の後にすぐコーディング演習を行い、営業研修では商談ロールプレイングを頻繁に実施します。また、実際の業務課題を研修の題材として活用することで、学習内容の実用性が明確になり、モチベーション向上につながります。


アウトプット中心の設計により、新入社員は能動的に学習に参加し、実務で即戦力となるスキルを効率的に身につけることができます。この手法は、研修と現場のギャップを最小化する効果も期待できます。


  1. 継続的なフィードバックと振り返りの仕組み

効果的な学習には、定期的な進捗確認と改善サイクルが不可欠です。


日次、週次、月次の振り返りを組み込むことで、新入社員は自分の成長を実感し、課題を早期に発見できます。フィードバックは単なる評価ではなく、具体的な改善点と次のアクションを明示することが重要です。また、自己評価と他者評価を組み合わせることで、客観的な現状把握が可能になります。チーム内での相互フィードバックも導入し、多角的な視点からの学びを促進します。振り返りの際は、うまくいった点も必ず確認し、自信の醸成を図ります。


継続的なフィードバックサイクルにより、新入社員は常に改善意識を持ちながら学習を進めることができ、研修効果の最大化が実現されます。


  1. 心理的安全性を重視した学習環境

質問しやすく、失敗を恐れない学習環境の構築は、全員の成長に不可欠な要素です。


まず「どんな質問も歓迎する」「間違いは学習の機会」という文化を明確に打ち出し、研修開始時にこの価値観を共有します。講師やファシリテーターは、質問に対して丁寧に対応し、「良い質問ですね」という肯定的なフィードバックを心がけます。また、匿名での質問受付システムを導入することで、恥ずかしがりな新入社員も気軽に疑問を投げかけられます。


心理的安全性が確保された環境では、新入社員は積極的に学習に参加し、真の理解と成長が促進されます。この環境づくりは、研修効果を左右する最も重要な要素の一つです。


研修担当者が見逃しがちな新入社員のサインと対処法

早期発見のためのチェックポイント

新入社員が研修についていけなくなる前には、必ずサインが現れます。


まず行動面では、遅刻や欠席の増加、質問の減少、グループワークでの発言の少なさなどが挙げられます。表情や態度では、困惑した表情、メモを取らなくなる、スマートフォンを見る頻度の増加などが警戒信号です。

また、提出物の質の低下や締切遅れ、同期との交流の減少も重要な指標です。


研修担当者は日々の観察を通じて、これらのサインを見逃さないよう注意深く新入社員を観察する必要があります。早期発見により、問題が深刻化する前に適切な対応を取ることができ、研修からの脱落を防ぐことが可能になります。


個別フォローのタイミングと方法

効果的な個別フォローには、適切なタイミングと方法が重要です。理想的なタイミングは、問題が表面化する前の予防的介入です。研修開始から1週間以内の初期フォロー、中間地点での進捗確認、困難な内容に入る前の事前サポートなどが効果的です。


フォロー方法としては、1対1の面談で不安や疑問を聞き取り、具体的な学習計画を一緒に立てることが重要です。また、理解度に応じた補習の提供も有効です。個別フォローでは、責めるのではなく、一緒に解決策を見つける姿勢で臨むことで、新入社員の心理的負担を軽減し、学習継続への意欲を維持できます。


成功事例:落ちこぼれゼロを実現した研修プログラム

これらの「ついていけない」「実務と結びつかない」といった課題を解消するために開発されたのが、チーム学習型研修サービス「CREW」です。

少人数チームと専属コーチによる日次サポート、Slackでの学習報告と助言、実務に近い開発演習などを通じて、心理的安全性と学習定着を両立した環境を提供します


株式会社日立アカデミー様の事例

株式会社日立アカデミー様では、相互支援を軸にした「CREW」のチーム学習型研修へと切り替えることで、顕著な改善を実現しました。


この2か月間の研修では、前半をe-Learningによるインプット、後半をチーム開発演習とし、4〜5名のチーム単位で学習を進行。Slack上で毎日の学習報告や質問・フィードバックを行い、互いに助け合う文化が根づいたことで、「質問しづらさ」や「孤立感」といった心理的ハードルが大きく軽減されました。


また、チームごとに専属コーチが付き、学習の進捗を見守りながら必要に応じて助言。技術的な悩みには技術PMがタイムリーに対応することで、つまずきが放置されることなく、早期の解決につながりました。


さらに、実際の業務を想定したチーム開発では、役割分担や報連相、振り返りを通じて、「実務とのつながりが見えずモチベーションが下がる」といった課題も払拭されました。

その結果、12名全員が研修を完走し、

  • 報連相や質問の基本スキル

  • チームマネジメント力

  • 実務への定着力

という、研修現場でよく見られる課題を乗り越える上で不可欠な3つの能力を確実に身につけることができました。

まとめ

新入社員が研修についていけない問題は、個人の能力不足ではなく、研修設計に起因することが多くあります


一律進行や個人学習中心のアプローチから、段階的な研修カリキュラムやチーム学習へと転換することで、全員が成長できる環境を整備できます。

研修の「ついていけない」をゼロにしたいとお考えの方は、ぜひCREWの導入もご検討ください!


 
 
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